まだ最新の地図にしか記されていない、最新の廃トンネル。
 最初にその存在に気付いたのはインターネットの地図を見ていたとき。古いトンネルよりもさらに古いトンネルがあるのか!と期待したのですが、その正体は昨年(平成18年)12月に現役を退いたばかりのトンネルでした。最新の地図で無ければ描いていないのは当然のシロモノです。
 廃モノとしては新しすぎてレポートに値しない?
 そんなことは全くありません。むしろ、この地域を象徴する物件ともいえるものでした。

 県道23号線柏崎高浜堀之内線・地蔵峠の地図

 新潟県の大動脈のひとつ、国道8号線、長岡市大積。
 長岡―柏崎・西山を結ぶ路線は南から国道8号線・赤田トンネル、県道393号線・沖見峠トンネル、県道23号線・地蔵トンネル、県道48号線・薬師トンネルの4つ。西山丘陵を越える路線はいずれもトンネルで峠を越えています。
 西山丘陵は平均200m、高いところで350m程度の決して高いとはいえない山の連なりですが、頂上部が急峻で崩れやすい地質が、道路の行く手を阻みます。
 地蔵峠も例に漏れず、峠部分が急峻で、昭和35年に旧トンネルが開通しています。しかしその後40年を経て、交通量の増加と、そしてそれに追い討ちをかけるある現象により老朽化が進み、ついには信号による片側交互通行になってしまいます。地域にとって重要な道であり、これを改善すべく新トンネルが着工、2006年12月23日に開通。旧トンネルは廃トンネルとなりました。

 しかし、その老朽化が進んだ原因がなかなかすさまじく、実際、ここまでのモノはなかなか珍しいのではないかとも思います。
 その原因とは・・・。

県道23号線柏崎高浜堀之内線・旧地蔵トンネル 前半

旧地蔵トンネル_1

旧地蔵トンネル_3

旧地蔵トンネル_2

 国道8号線、長岡市・大積。ここから地蔵峠へと向かいます。
 青看板で道路番号を確認。
 しばらくは中央線はみ出し禁止の2車線道路が峠を目指してだらだらと登ります。

旧地蔵トンネル_4

 そしてすぐにトンネルに到着。旧道の方は簡単な封鎖が施してあります。
 おそらくこのあたりでトンネルの信号待ちをしたのではないかと思いますが、その痕跡はありません。

旧地蔵トンネル_5

旧地蔵トンネル_6

旧地蔵トンネル_7

 まずは、新トンネルのほうから。
 開通したばかりとあってとてもきれい。
 トンネルの出口は曲がっていて見えません。

旧地蔵トンネル_8

旧地蔵トンネル_9

 さて、いよいよ旧トンネルです。
 傍らには、殉職の碑が立っていました。このトンネルの工事で亡くなったのでしょうか、2名の方の名前がありました。
 静かに手を合わせて、坑門へと向かいます。

 そういえば、心霊スポットにこの地蔵トンネルの名前もあがっていましたが、この辺に由来があるのかもしれません。

旧地蔵トンネル_10

旧地蔵トンネル_11

 鉄パイプの簡単なバリケードが設置してあります。坑門は特別飾りなどがあるわけでもなく、非常に無機質。
 「地蔵隧道」という扁額が掲げられているだけで、完成年月日などを記した物は見当たりません。

旧地蔵トンネル_12

旧地蔵トンネル_13

旧地蔵トンネル_14

 バリケードを抜け、中へ。
 ・・・おじゃましまーす。
 コンクリート捲き立てですが、縦横無尽に走る補修跡が目立ちます。しかも照明施設もそのまま。地震によく耐えたもんだと関心。
 地面に近いところからは泥も噴出してます。その泥のにおいなのか、ドブのようなにおいが。でも天井から水が滴るということは無いようです。・・・逆に不思議だ。
 トンネル自体は長くも無く、短くも無く。出口の明かりもしっかりと見えています・・・がちょっと変。少し登りになっているようで、出口が狭まって見えています。

旧地蔵トンネル_15

 ちょっと進んだところ。
 実際にはこんなに明るくなくて、闇の世界。
 相変わらずひびが続いていますが、路面はしっかりしています。

旧地蔵トンネル_16

 ちょうど真ん中あたりでコンクリートの吹きつけへと変わりました。
 真の闇の世界で、かなり不気味。
 トンネルを入ったときから続いているドブ臭も不気味さをあおります。
 まさか・・・アレなのが腐ってたりするんじゃないだろーなー・・・?

 なんともいえない違和感、そして鼻をつく異臭。
 これらの正体は一体・・・。

 後編へ続きます。

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