旧国道351号線・榎峠で気づいた、峠の峰の上に建ち並ぶ鉄塔の群。 越の国で”燃える水”が採れることは古くから知られていました。天智天皇への草生津の献上は有名ですが、江戸時代には長岡周辺で石油採取を生業にするところもありました。 今回はその跡、今残っているものだけを訪ねてみます。 |
東山油田跡
さて、レポートの探訪以来、二度目の比礼隧道。 ちなみに、ですが。 |
そのトンネルのすぐ脇に山の上へ登っていく道があります。 |
結構上までこんな感じの舗装がされています。 |
舗装された道を高津谷高原方向にたどっていくとまず出会うのがこの小屋。 この中にポンピングパワーがあります。 |
その差し向かいにとうとう鉄塔が。 |
本日一基目。 |
ここで使われているのはサッカーロッドポンプというもの。先ほどのポンピングパワーからワイヤーで動力が伝えられ、ヘッド部分が上下して石油をくみ出すのです。よくアメリカとかであるやつですね。ぎーこらぎーこら動いてるアレ。 |
井戸部分。 |
なかなか高いです・・・。 さて、まだまだこの峰の上にはまだまだ他にもたくさん油井があるはずです。 |
しばらくいくと広場があり、急に視界が開けます。 |
こうなると不思議なオブジェですね。 |
その山の景色といえばこんな感じです。正面の山は守門岳。 |
さてさて、その林立していた手掘り井戸で注意しないといけないのが、 山中にはこんな感じで穴が沢山放置されています。 これは東山に限ったことじゃなく、西山油田でも穴が放置されているところがあるようです。 |
当時は高津谷高原から北にも油井があったようですが、現在気軽に見に行ける状態にはないようです。 さて、高津谷高原への分岐まで戻り、今度は右手に錦鯉の養殖場を見ながら南に向かいます。途中で荒れ果てた少し登っていく道とまともな砂利道とに分かれますが、ここは迷わず荒れ果てた方を選びます。 |
道が崩れ落ちて地中に埋められていたらしい送油管が宙に浮いています。 |
しばらく登るとまた小屋が。 |
中の様子。かなり荒れ果ててますね・・・。 |
さて、もう一方の気になる分岐の方にも入ってみましょう。 |
見えました、油井の鉄塔です。 |
この油井はきちんとポンプと送油管がつながっているようです。 |
ポンプのそばに大きな滑車が落ちていました。よく見るとまだワイヤーの跡が残ってますね。 |
森の中にぽつんとあるという点は高圧電線の鉄塔と同じですが、その雰囲気はまったく違います。 ・・・これはまさに廃墟なのです・・・。 |
さて、さらに登ってみましょう。 すぐに別の鉄塔が目に付きます。 |
しかし、改めてみて見ると拍子抜けするほど単純なつくりです。 |
少しめまいがしますね・・・。 |
重りのほうが浮き上がっています。これはまだポンプが油井パイプにつながれている状態だからでしょう。 向こうには先ほど訪れた油井の鉄塔が見えています。 |
森の中にはこうした中継器も埋まっていたりします。 |
さらに登ると少し趣の違う鉄塔が。 |
少し骨太な感じ。 |
パイプの囲いもコンクリートです。他のに較べて少し新しいのでしょうか。 |
上を見上げると、まだ滑車がぶらさげっていました。 立入禁止っ! 車が入れそうなのはここまで。 |
細い道を分け入っていくと、そこにはこれまでと違う感じの油井が。 |
構造的にはこれまでの鉄塔のものと全く変わりがありません。 これまでの鉄塔モノと違い、囲いなしに直接地面からパイプが突き出しています。 |
さらに登ると峰の上に出ました。 |
しばらく歩くと道が極端に狭まり、終点とおぼしき場所にまたポンプらしき影が。 |
ポンプ・・・ですが何か少し印象が違いますね。 |
あぁ、シーソーするヘッド部分が落ちちゃったのですね。 |
足元にはヘッドが転がっていました。 |
ここのパイプが最もきれいな状態で残っていました。機械を繋げばまだ動きそうな感じです。 |
さて、さらに帰る道すがら。 期待はしていなかったものの、さらに一基が森の中にあるのを見つけました。 |
これもヘッド部分が落ちてますね。 |
こんな感じで木の板はもうフタの役目を果たしていません。 |
時を感じさせる風化っぷり。 |
見上げてみると、ここもまだ滑車が吊り下がっていました。 |
明治〜大正頃はこの周辺は非常に活気があったのでしょうけど、今の姿からそれを想像することは非常に難しいです。今見て回れるのはここで紹介して物ぐらいで、峠から少し下に事務所もありますが、そちらはほとんど物置小屋状態のようです。 全体的にいえるのは、意外と何もないっていうことでしょうか。「油田」という言葉の響きから重厚な廃墟群を期待していると、ですが。石油のにおいもほとんどありませんから。 でも、廃墟や工場に興味があって山歩きが嫌いじゃない人ならばいいハイキングコースになるでしょう。眺めが抜群ですから。 ちなみに。 このレポートの雑記ノート |